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カスタマージャーニーマップとは? 概念から目的や作り方まで解説
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「カスタマージャーニーマップ」はマーケティングに携わる方であれば聞いたことのある方も多い用語ではないでしょうか。
カスタマージャーニーマップはユーザーを理解し、事業の成長につなげる上で重要なフレームワークです。
一方で、既にあるサービスなど、「今更カスタマージャーニーマップを作成して意味があるの?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

本記事ではカスタマージャーニーマップの概念の説明から、カスタマージャーニーマップの作成が重要な理由、作成フローまでご紹介します。

カスタマージャーニーマップとは

カスタマージャーニーとは「顧客が商品やサービスを購買するまでのプロセス」を旅に例えて表現した言葉だと言えます。

そしてカスタマージャーニーマップとは、顧客(カスタマー)の思考と行動を分析して改善施策に展開するためのフレームワークです。
具体的には、ユーザーが商品やサービスを認知して、興味を持ち、購入や成約に至るまでの行動を分析します。

ペルソナとは

カスタマージャーニーマップが重要な理由の説明に入る前に、カスタマージャーニーマップと合わせて必ず押さえておきたい「ペルソナ」についてご説明します。
ペルソナ分析とはカスタマージャーニーマップと同様にユーザーを分析するためのフレームワークです。
カスタマージャーニーマップがユーザーの行動を認知~購入までのステップごとに分析したものであるのに対し、ペルソナは消費やサービスを購入するであろう「理想のユーザー像」を設定したものです。

具体的には、年齢、住んでいる場所、仕事、趣味・嗜好やサービスに対する意識や行動などを設定します。商品やサービスの内容、調査目的によってはペルソナを複数パターン作成する必要がある場合もあります。

ペルソナの作成方法については以下の記事でもご紹介しておりますのでご参照下さい。
ペルソナ設定ってしなきゃダメ?設定するメリットと作成方法

カスタマージャーニーマップはなぜ重要なのか

では、マーケティングにおいてカスタマージャーニーマップを作成することはなぜ重要なのでしょうか。
その背景には昨今の顧客行動の多様化とそれによるマーケティング手法の複雑化があります。
近年ではスマホの普及によりユーザーがいつでもどこでもインターネットにアクセスできる環境になったため、それだけユーザーの商品やサービスのタッチポイントは多様化しています。

また、ユーザーの購買までのプロセスにおいても、様々な広告手法の誕生はもちろん、自然検索ではなくSNSによる情報収集の広まりなどにより、ユーザーの行動は多様化しています。さらには、現在ではインターネット上だけでなく、オンラインとオフラインを横断したユーザー行動も見られます。

ペルソナ設定では、自社のターゲットは明確になりますが、このようなユーザーの行動の変化については踏まえられていません。
ユーザーへの適切なアプローチをするためには、ペルソナ設計だけではなく、カスタマージャーニーマップによってユーザーの行動も図式化する必要があるのです。

また、ユーザーによって当然行動パターンも変わるため、ペルソナ同様にカスタマージャーニーマップについても複数パターンの作成が必要となる場合も多いです。

カスタマージャーニーマップを構成する要素

カスタマージャーニーマップは縦軸に項目を、横軸に購入までの行動ステップを設定します。

5カスタマージャーニーマップ例転職求人サイトをモデルとしたカスタマージャーニーマップの例

上記は「転職を検討しているユーザー」を例にしたカスタマージャーニーマップです。
ユーザーが転職に関心を持ち始めてから、実際に企業に応募するまでの行動をマップにしています。
上記の例では、横軸の行動ステップを6段階(認知・興味、情報収集、比較、検討、購入、リピート)、縦軸の項目を4つ(顧客接点環境、行動、思考、感情)に分けていますが、サービスやカスタマージャーニーマップの活用目的によって必要な項目は異なります。

上記は基本の項目となりますが、それ以外に検索からのユーザーを獲得する目的であれば、縦軸に「検索キーワード」という項目を追加するなど、自社の商品、サービスのターゲットとなるユーザーを分析する上で必要な要素を設定するようにしましょう。

カスタマージャーニーマップを作るメリット

カスタマージャーニーマップを作成することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは大きな3つのメリットをご紹介します。

1 共通認識をもつことができる

1つ目のメリットは、カスタマージャーニーマップを作成することで、社内全体でユーザーの行動に対する共通認識を持てるようになることです。
カスタマージャーニーマップはマーケティング活動で用いられるイメージが強いかもしれませんが、マーケティングチームのみならず、営業やカスタマーサクセス、プロダクトチームなど、社内全体で顧客行動に対して共通認識をもつことで、施策を行う上での一貫性が生まれたり、部署間の連携が円滑に進むという利点があります。
また、カスタマージャーニーマップは単純な文字情報ではなく図式化された情報なので、読み手の誤解を生むことが少なく、複数の人が共通認識をもつことができます。

2 顧客視点でマーケティング施策を講じることができる

2つ目のメリットは、顧客視点でマーケティング施策を講じることができるようになることです。
キャンペーンやプロモーションを打つ時などマーケティングを行う際には、つい「どうしたら売れるか」という自社視点で施策を講じてしまうことも少なくありません。
顧客に対する理解が足りていないと、的はずれな施策となってしまい思うように成果が出ない可能性もあります。

一方、カスタマージャーニーマップは顧客を主語にして、顧客が何を考え、行動するかを可視化したものです。
そのため、カスタマージャーニーマップを活用することで、顧客の心理に寄り添った発想への転換を図ることができ、「ユーザーが何を望んでいるのか」という顧客側に立った施策を講じることができます。

3 自社の役割や課題が明確になる

3つ目のメリットは、自社の役割や課題が明確になることです。
カスタマージャーニーマップを作成することで、企業側は顧客の一連の体験を俯瞰することができるようになります。
これによって、「顧客に適切なタイミングで情報提供ができているか」や「ユーザーにとってこの機能は本当に必要なのか」といった新たな気づきや課題の発見につながることもあります。
一部の部署にとどまらず、全社としてどのユーザーにどんな価値を提供するべきか顧客とのタッチポイントの中でどこに課題があるのかが可視化できるようになるのです。

カスタマージャーニーマップの設計

ここからは、実際にカスタマージャーニーマップの作り方をご説明していきます。
作成時のポイントも合わせてご紹介しますので、是非ご確認下さい。

カスタマージャーニーマップ作成の流れ

カスタマージャーニーマップは、下記4つのステップで作成していきます。

1 カスタマージャーニーのゴールを決める

まずはカスタマージャーニーマップのゴールを決めましょう。ここでは、カスタマージャーニーマップを作成する目的から立ち返って、ゴールを決めます。
たとえば、「リピート購入を増やしてLTVを向上させたい」という目的であれば、商品のリピート購入までがゴールになりますし、「Web経由での店舗来店数を増やしたい」という目的であれば、Webで申し込み後の来店までがゴールになります。
そのほか、問い合わせや資料請求など、ビジネスモデルやカスタマージャーニーマップの活用目的によって設定するべきゴールは様々なので、自社の目的に沿ったゴールを設定しましょう。

2 ペルソナを設定する

カスタマージャーニーのゴールが決まったら、次はペルソナを設定しましょう。
カスタマージャーニーマップはここで設定したユーザーに沿って作成していくため、ペルソナ設定は非常に重要となります。

ペルソナを設定する際は、ターゲットの仮説立て仮説の検証をセットで行うようにしましょう。
これは、企業側とユーザー側には意識のズレがある場合も多く、仮説だけでペルソナを作ってしまうとユーザーが本当に抱えている課題に気付くことができない場合もあるためです。

はじめの仮説立てのフェーズでは、商品やサービスのターゲットになりそうな人物像を思い描き、年齢や家族構成、年収や職業などの項目を仮説立てていきます。サービスのニーズが生まれる上で影響を与えそうな項目はすべて洗い出し、できるだけ細かく人物像を設定しましょう。
次の仮説の検証フェーズでは、実際にヒアリングやアンケートを実施して、ユーザー調査を行うのがおすすめです。ここでわかった結果をもとに、当初立てた仮説を修正しながらペルソナを固めていきましょう。

3 フレームワークを決める

ペルソナが固まったら、次はカスタマージャーニーマップのフレームワークを決めましょう。ここでいうフレームワーク決めとは、カスタマージャーニーマップの縦軸と横軸を設定することを指します。

まずは横軸の「フェーズ」を洗い出して枠を埋めていきましょう。顧客がそのサービスと接触した最初の段階から、実際の購入やリピートなど初めに設定したカスタマージャーニーのゴールまでの行動ステップを洗い出します。
ステップを考える際は、まずはAISASやAIDMAなどの消費行動フレームワークをベースに考えていき、必要に応じてステップを分解したり省略したりするのがおすすめです。このときのコツとしては、顧客のタッチポイントが変わるタイミングでステップも区切るようにすることです。

続いて縦軸では、一般的には以下の4項目(タッチポイント、行動、思考、感情)を設定します。

・タッチポイント(顧客接点環境)

4-2カスタマージャーニーマップ-顧客接点

顧客とどのような環境で接点を持つのかを洗い出します。
シーン(通勤電車、昼の休憩、休日の午後等)、デバイス(PC、スマホ、テレビ等)、チャネル(CM、口コミサイト、自社サイト、SNS等)それぞれを予測し、洗い出します。

・顧客の行動

4-3カスタマージャーニーマップ-顧客行動

顧客が情報を得るために、各フェーズでどのような行動をとるのかを洗い出します。

「行動」は「顧客接点環境」に依存します。例えば顧客が“応募する”という行動をとりたいタイミングで応募フォームへの分かりやすいナビゲーションがなければ行動を起こすことは難しくなります。

ここで注意したいのは、「自社の環境に合わせて、都合のいいようにユーザーの行動を考えないこと」です。カスタマージャーニーマップは顧客視点で作成するものですから、ユーザーの行動を徹底的に想定し、その行動ができる環境を提供できているかを検証する必要があります。

・顧客の思考

4-4カスタマージャーニーマップ-顧客の思考

顧客が各フェーズの「行動」によって、どのようなことを考えるのかを洗い出します。
「行動」によって「思考」が始まり、その「思考」が次のフェーズの「行動」を促す内的要因になります。
顧客の多くが次のフェーズに移行しない場合、この部分で顧客がどんなことを考えているのかを正しくとらえられていない可能性が高いと言えます。

・顧客の感情

4-5カスタマージャーニーマップ-顧客環境

顧客が各フェーズでとる「行動」や「思考」からどのような感情を持つのかを洗い出します。

感情とは、不安、ワクワク、感動、安心等があり、ネガティブなものとポジティブなものに分けられます。最近では“インサイト”などとも言われ、マーケティングの根幹をなす部分として重要視されています。

「感情」は「思考」と同じく次のフェーズでの「行動」を促す内的要因となります。例えば“不安”というネガティブな感情を持つのであれば、次のフェーズではその不安を解消するような「行動」をとると考えられますし、“面白い”というポジティブな感情であれば、その情報をSNS等で拡散するという「行動」をとることが考えられます。

最終的に人を行動へ駆り立てるのは感情ですから、ここで顧客視点からズレてしまうとカスタマージャーニーマップが設計図としての機能を果たさなくなります。実際の顧客にヒアリングを行うなどして、正確に把握できるよう心がけましょう。

4 実際のデータをもとにマップを埋める

フレームワークが設定できたら、あとはステップごとに内容を埋めていけばカスタマージャーニーマップの完成です。
フレームワークの各項目を埋めていく際は、ペルソナの仮説検証の際に浮かび上がってきた、アンケートの声やお問い合わせ内容など実際のユーザーの言葉を反映させると説得力の高いマップになります。
また、テキストだけでなく、適宜アイコンや写真を用いて作成することで、他の人が見た時にイメージしやすいカスタマージャーニーマップとなります。

カスタマージャーニーマップ作成のポイント

ここまでカスタマージャーニーマップの作成フローをご紹介してきました。
ここからは、実際にカスタマージャーニーマップを作る上での注意点やポイントについてご紹介します。
作成したカスタマージャーニーマップをマーケティングに活用した際に、しっかり事業の成長につながるようなものにするためにも、下記ポイントを押さえて作成するようにしましょう。

多くのステークホルダーを巻き込む

1つ目のポイントは、できるだけ多くのステークホルダーを巻き込んでカスタマージャーニーマップを作成することです。
営業、開発、カスタマーサクセスなど様々な部署を巻き込むことで、顧客との様々なタッチポイントを持つ人の視点が加わるため、偏りのないマップになります。
完成したカスタマージャーニーマップを全社的に共有し、活用していく上でも、多くの部署の意見を取り入れて作成されたものであることは重要となります。

作成が目的にならないようにする

2つ目のポイントは、作成すること自体がゴールにならないように注意することです。
カスタマージャーニーマップを作成し始めると、「できるだけ細かく書き込もう」といった様々なこだわりが出てきてしまい、完成したら満足してしまうことがあります。

目的カスタマージャーニーマップを元にマーケティング施策を実行するという前提を見失ってはせっかくのカスタマージャーニーマップも意味のないものとなってしまいます。

ペルソナや行動を詳細に作り込みすぎるのではなく、まずは荒削りでも良いので作成してみて、それからプラッシュアップしていくのが良いでしょう。

予想で作らないようにする

3つ目のポイントは、予想でカスタマージャーニーマップを作成しないようにすることです。
これまでにも述べてきた通り、カスタマージャーニーマップは顧客の視点から描くマーケティングのストーリーです。
ユーザーが置かれている環境や情報収集手段も日々変化していますから、企業側の思い込みや、一昔前の常識をもとにカスタマージャーニーを設計していたのでは、まるで的外れななものになってしまう危険性もあります。
くれぐれも自社視点で自分たちの都合のいいストーリーを描いてしまわないように気を付けましょう。

随時ブラッシュアップをしていく

4つ目のポイントは、カスタマージャーニーマップは一度作ったら終わりではなく、随時ブラッシュアップをすることです。市場や競合の動きに応じて顧客の動きは変わることがあるので、その時に合わせたカスタマージャーニーマップにアップデートしていく必要があります。

まとめ

本日ご紹介してきたカスタマージャーニーマップですが、的確にユーザーの行動をとらえることで、自社の課題やチャンスが見つかり、顧客獲得や自社のブランディングも可能になります。

そして、カスタマージャーニーマップを作成する上では実際にユーザーがどのような環境、行動、思考、感情で商品やサービスの購買に至るのかを調査することをおすすめします。

ウィルゲートでは、ユーザーアンケートの実施から、アンケート結果を元にしたペルソナ設計やカスタマージャーニーマップ作成のご支援をしております。
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プロモニスタ編集部
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